うまく名前が言えない。私の吃音について。

こんにちは。心理カウンセラーの掛川恵二です。

今日は、私の吃音にまつわるエピソードをご紹介いたします。
先日投稿しました「うまく言葉が出てこない。私の吃音について」の続編です。まだの方は先に前回ブログをお読みいただけると幸いです。

タイトルにも挙げましたが、私は自分の名前がうまく言えずに困ることがよくあります。「かけがわ」がスッと出ず、「かか、かけがわ」や「かけ、かけかけがわ」と、前回のブログでご紹介した「連発の症状」になりやすいのです。

そこで、技を使います。

「◯◯の掛川」と所属や地名などを付け加える、という技です。
頭に付け加えても不自然にならず、且つ出やすい単語を選ぶのがポイントです。
しかし、失敗すると「◯◯の……」で止まってしまい難発の症状に陥る場合もあります。この場合はやり直しが難しく不自然な感じになってしまうので注意が必要なのです。

技が決まってスッと言えたと思っても、吃音から派生している滑舌の悪さゆえに誤認され、訂正の沼にハマっていくこともしばしばあります。例えば、

相手:「えっ、タケガワさんですか」
私:「タではなくて、カ、です」
相手:「?カ、ですか?」
私:「そうです、カ、です」
相手:「もう一度お願いします」
私:「かかか掛川です」
相手:「??ハセガワさんですね」
私:「いえ、カ、です」
相手:「???カセガワさん?ですか。」
私:「……かかかかけかけ」

と、こんな具合です。
お電話でのやり取りになると、相手の方から「ちょっと電波の具合が悪いようで聞き取りにくいようです。すみません。もう一度お願いします」と言われ電波の影響に発展することもあります。

日常生活で自分の名前を言う機会は少なく無いので、慣れているとはいえ毎回ちょっとした予期不安にはなります。

しかし、本当に困るのは人のお名前です。挙げればキリがありませんが、例えばア行とカサタ行の組み合わせのお名前。
アカサカ、ウチダ、オカ、アサオカ(敬称略)などです。

人のお名前を間違えるわけにはいきません。親しい間柄であれば下のお名前やニックネームで切り抜けられる場合もありますが、ほとんどの場合においては苗字をお呼びする必要があります。本当に注意が必要で気合いが入る瞬間です。

いくつか技がありますが、今回は少しせこい技をご紹介します。
最初のア行を発音するか、しないか微妙な音量と長短で誤魔化すという小技です。先ほどの例では、

「アカサカ」→「…っカサカ」
「ウチダ」→「…チダ」
「オカ」→「オーカ」
といった具合です。文章で表すとお伝えしづらいですが、はっきりと発音しない、少し伸ばす、小さなツで誤魔化して、相手の方の「空耳」を頼みの綱にする方法です。

多くの方は「???」な感じだと思いますが、吃音のことを知っていただき、社会の中で理解が広がればいいなと思っています。
また、吃音がゆえに恋愛や進路の壁になり悩まれている学生様や、吃音が出始めたお子様の子育てで悩まれている親御様、吃音当事者の方へ「技」の共有など少しでもお役立ちいただける内容を今後も発信していきます。

最後までお読みいただきありがとうございました。

投稿者プロフィール

掛川 恵二
掛川 恵二くれたけ心理相談室(大和支部)心理カウンセラー
カウンセリングを重ねることで、あなたの杖として歩みを支え、提灯になり足元の段差を照らし、旅を進めるための安心道具のひとつになれたら嬉しいです。

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