「自分を大切にしましょう」という言葉の先にあるもの。

こんにちは。後出しの発信ではありますが10月10日は「世界メンタルヘルスデー」でした。掛川恵二です。

 

「世界メンタルヘルスデー」とは、世界精神保健連盟が1992年よりメンタルヘルスに関する世間の意識を高め、偏見をなくしていくことを目指し、世界保健機関(WHO)も協賛して正式な国際記念日とされています。

このような記念日が制定されているということは、世界中で精神的な苦しみ、心の悩みで辛い状況にある方が大勢いらっしゃるということでもあり、心理カウンセリングというアプローチでこの社会課題に向き合っていきたいと改めて考えてみました。

今回は少し長めの文章ですが、どうぞお付き合いください。

 

メンタルヘルスを取り扱う上で「自己肯定感」「自分を大切に」といったキーワードをよく耳にします。

成績、売上、人気、容姿、財産、など競争にさらされ続ける資本主義時代に生きる私たちは、これらを数値化した尺度で常に他者と比較して社会的な価値のみならず、自身の価値や存在意義までもを推しはかろうとします。

「〇〇さんと比べて自分は成果が出せなくてダメな奴だ」

「うちはお金がないから不幸だ」

「自分の容姿に不満やコンプレックスがある」

など。他と比べ続けていく中で疲弊し傷つき、思い悩むことがあります。そこで登場するのが、「ありのままの自分を肯定、尊重して自分の価値を認めていく」という自己肯定感という感覚を高めていきましょう、という考え方です。平易な言葉で表すとしたら「自分を大切に」ということですね。

 

「禅」や「ヨガ」の思想哲学から坐禅や瞑想などの行為によって、今の自分を大切に受け入れていく姿勢(マインドフルネス)として実践されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

うつ病や不安症などの回復プログラムとして精神科領域で取り入れられている「森田療法」においても、あるがままに受け入れていく、という精神療法が用いられています。

これらの実践に共通しているのは、不安や悩みにとらわれ、対峙しコントロールしていこうとうのではなく、ネガティブな思考もそのまま受け入れて認め、自身の存在全てを尊重し肯定していく、という捉え方ですね。

 

他と自分を比べたり、周囲に気を使うことが多い方は、時々は自分自身に目を向けていくことはメンタルヘルスの大切な要素になると思いますので、上記の実践はおすすめです。

 

一方で、「自分を大切に」という言葉に最近やや引っ掛かりを感じております。自分と他人の違いはなんなのか、という問いです。

 

どんな境遇であれ、世界中の誰であれ、私たちは生物学的な男性と女性が性交した結果その女性の体内で成長し産まれてきました。自分の意思で選んで産まれてきたわけではないです。そして、地球上の空気、水、土、太陽のエネルギーを得て、植物や動物から栄養を得て、今この瞬間に肉体として存在しています。

そして、その肉体をもって様々な人や物や自然との出会いや経験、情報や学びから自分の価値観や思想が積み重なって精神が存在しています。

大きな視点から見れば、私という存在は誰のものなのかという疑問が湧いていきて、「誰のものでもなく生命が繰り返し産み育ててきた自然全体の共有物」とも捉えることができるのではないかと。

母のおかげ、太陽のおかげ、水のおかげ、今日食べた野菜や生き物のおかげ、今日おしゃべりした友達のおかげ、天国にるばあちゃんのおかげ、、、全てが「おかげ」の連続で、「自分という存在は、色々な人や物のおかげの集合体で誰のものでもない」のかなあと思ったりしています。

生まれ育った境遇が不運で辛い状況を恨み、苦しみ受け入れがたい悩みの渦中の方もおられるかもしれません。私は、あなたが存在してくれてこの記事を読んでくれているおかげで今日も頑張れています。本当にありがたいことだと思っています。

 

ここまで読んでくださった方はだいぶと「???」な感じがしていると思いますが、つまり「自己肯定感」の先にあるのは「他者も肯定する、自然全てを肯定して受け入れて尊重し敬う」ということなのかもしれませんね。

 

世界メンタルヘルスデーに触れ、皆様の心の健康と世界平和を願い、宇宙的な大きな視点でブログを綴ってみました。長文になってしまいましたが、最後までお付き合いありがとうございました。

 

投稿者プロフィール

掛川 恵二
掛川 恵二くれたけ心理相談室(大和支部)心理カウンセラー
カウンセリングを重ねることで、あなたの杖として歩みを支え、提灯になり足元の段差を照らし、旅を進めるための安心道具のひとつになれたら嬉しいです。

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